はじめに
子育て本の番外編カテゴリでは、「ダイレクトな子育て本ではないけれど、子育てを考える上でのヒントを与えてくれそうな本」を紹介します。
今回は「はずれ者が進化をつくる」です。
「個性」とは何なのか、を考える上でとてもオススメしたい本です。
- タイトル
はずれ者が進化をつくる - 著者
稲垣栄洋 - 発売日
2020/6/9 - 出版社による紹介文
「平均の人間」なんて存在しない。個性の数は無限大。生き物各々が異なっているのには理由がある。唯一無二の生命をつなぐための生存戦略がここにある。
「自分らしく生きてほしい」と自分の子に対して思っていますが、「自分らしさとは?」と聞かれるとうまく説明できませんね・・
「自分らしさ」、「個性」、これらの言葉は考え出すとなかなか答えが出ないものですね。
この本はそういった点について、生き物の進化と結びつけて考えていてとてもおもしろい本ですので少しでも気になったら以下を読んでみてくださいね。
こんなことを知りたい人におすすめ
- 「個性」とは何か
- 「ナンバー1」と「オンリー1」どちらを目指すべきか
- 「らしさ」とは何か
それではひとつずつ見ていきましょう!
おすすめの理由をくわしく
① 「個性」とは何か
自分自身の個性がなんなのかもハッキリとわからない中で、「子どもの個性を伸ばしてあげたい」と考え、自分なりに色んな工夫をしているというパパ・ママが世の中にはたくさんいるのではないでしょうか。
「日本の義務教育では個性は育ちにくい」などとも言われていますが、そもそも「個性」とはなんなのでしょうか。
この本で著者は、自然界と人間を比較しながら考察を展開してくれています。
たとえばタンポポについて。
タンポポの色は黄色と決まっていて、色という点では個性はありません。
これは虫に花粉を運んでもらうために黄色が一番良いという理由からタンポポ自身が選んでいるということですね。
一方で株の大きさ、葉の形などはバラバラとのこと。
どんな大きさや形が良いかは環境によって異なるからだそうです。
つまり、タンポポの個性が表れるには理由や意味があるから、ということです。
では人間は?というと、人間はそれぞれに性格や容姿も異なりますね。
これにも意味があるということを著者は本書の中で述べられています。
「あなたは、生まれながらにして唯一無二の存在です」
と優しく教えてくれるこの本は、子どもの個性について考えるパパ・ママの立場の方にとって、「個性とはなにか」を整理する上で多くのヒントをくれる本だと思います。
② 「ナンバー1」と「オンリー1」どちらを目指すべきか
有名な曲の歌詞に出てくる「ナンバー1」と「オンリー1」。
この本ではその2つの言葉について、生物の進化と照らし合わせることで「そういうことか!」と思わず納得させられるような説明が書かれていています。
「自然界ではナンバー1しか生き残れない」
これは自然界の鉄則だと著者は述べています。
現在自然界に存在している生き物は、すべてナンバー1の存在。
ナンバー1がたくさんいて、共存できている状態とはどういう状態なのか。
人間が生きていく上でも大きなヒントとなりそうなこの部分は、本書の中で特に読んでいただきたい部分です。
③ 「らしさ」とは何か
「自分らしく生きてほしい」とわが子に対して想うパパ・ママは多いと思います。
でも「自分らしい」とは一体なんなのか、考えれば考えるほどわからないものですね。
著者は「『らしさ』とは何か」という章で、「私たちは誰もが個性ある存在だから、そのままで『自分らしさ』を持つ存在である」と書かれています。
一方でその「自分らしさ」は自分ではなかなかわからないものだとも。
この「自分らしさ」を見つけるためには、他人が勝手に自分に対して作り出したイメージや、「こうあるべき」とされているものを一旦すべて捨ててみる必要があると述べられています。
本書はこのような、とても難しい問いに対して様々な生物の例を引き合いに、「本当はこういうことなのでは?」という問いを読者に対して優しく投げかけてくれるとても温かい本です。
まとめ
生物が厳しい生存競争の中で、自分が生き残れるポジションを見つけるために必死に進化してきたのだという事実は、私たちがどのように自分に合う生き方を模索していけば良いかということに対する大きなヒントをくれている気がします。
それは子育てにおいて、わが子が存分に「自分らしさ」を発揮して輝ける生き方をサポートするという点で非常に役に立つ考え方であるとも思います。
ぜひ子育てのヒントとして読んでみていただければ嬉しいです。
- タイトル
はずれ者が進化をつくる - 著者
稲垣栄洋 - 発売日
2020/6/9 - 出版社による紹介文
「平均の人間」なんて存在しない。個性の数は無限大。生き物各々が異なっているのには理由がある。唯一無二の生命をつなぐための生存戦略がここにある。