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【おすすめ子育て本】「十歳までに読んだ本」 あの人はこどもの頃どんな本を読んだ?

タイトル画像 十歳までに読んだ本

今回は、様々な分野で活躍されている方々が、十歳までに読んだ本の中で強く印象に残っている本をそれぞれ紹介する、という面白い切り口の本を紹介します。

Toshi

へえ、面白そうですね。
で、どんな方が紹介されているんですか?

小説家、映画監督、俳優にプロレスラーまで、70名の方々が紹介されています!

Toshi

幼い頃にどんな本を読んでいたか、たしかに気になりますね。

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  • タイトル
    十歳までに読んだ本
  • 出版社による紹介文

    子どもの頃、どんな本を読みましたか? 心を揺さぶられた物語、勇気をもらった言葉、憧れの主人公――小川糸、森見登美彦、宮下奈都、辻村深月、吉岡里帆をはじめ、作家、女優、映画監督ら70名が、「根っこ」となった大切な一冊について綴るエッセイ集。あの頃のドキドキやワクワクがよみがえり、大人になった心に響く一冊です。

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70名の方々のお名前を以下に紹介しておきますね。

Toshi
西加奈子/佐藤ジュンコ/松村栄子/原宏一/川内有緒/冲方丁/安田菜津紀/飛鳥井千砂/益田ミリ/草野たき/吉岡里帆/畠中恵/平松洋子/木内昇/ミムラ/穂高明/千松信也/長島有里枝/小川糸/穂村弘/山崎ナオコーラ/近藤聡乃/中村航/町山智浩/棚橋弘至/最相葉月/森見登美彦/名取佐和子/文月悠光/原田マハ/稲垣えみ子/海堂尊/安東みきえ/中島たい子/平山夢明/前田司郎/犬童一心/内澤旬子/三田村信行/栗田有起/矢萩多聞/寺地はるな/あさのますみ/初野晴/東山彰良/万城目学/柚木麻子/近藤史恵/小路幸也/石川直樹/伊藤たかみ/宮下奈都/永井するみ/小川一水/大崎梢/杏/藤岡陽子/小手鞠るい/絲山秋子/魚住直子/小瀬木麻美/五十嵐貴久/辻村深月/小松エメル/藤谷治/誉田哲也/市川紗椰/枡野浩一/加藤千恵/アーサー・ビナード

それでは、この中から一部紹介していきます!

Toshi

この本のユニークなところ

シンプルなタイトルだけで、どんな内容の本なのかはある程度想像できるのですが、この本の良さはムダがないところです。

ひとつ目は、70名の執筆者たちが紹介するページ以外の情報(たとえば、「おわりに」や「この本を作った経緯」などの情報)が皆無であることです。
そのため、ただ気になったページを、好きなタイミングで読んで見ればよいというとてもシンプルな構成になっていて、個人的にとても気に入りました。

もうひとつ「ムダがない」と感じるところがあって、それは目次のすばらしさなんですね。

目次にいちいち表紙画像が貼りつけられている素晴らしさ

この本の編集者の方がどれほどの想いをもってこのような作りにされたかはわかりませんが、この目次はとてもすばらしいですね。
似たような本は世の中にはありますが、やはり絵本などは表紙のビジュアルがとても大事なのと、何より読んだことのない本でも表紙のイメージがあることで「これどんな本か気になるな」となりやすいですね。

その意味でこの本は、自分の知らない本に出会えるワクワク感もあれば、自分が読んでいた本について他の誰かが紹介しているというおもしろさもあり(そしてまったく自分とは違う捉え方をしているのでさらにおもしろい)、子育ての参考としながらも自分自身がとても楽しめる本だと思います。

では本自体の説明はこの辺にして、いくつかネタバレしすぎない程度に紹介していきます。

なんと2名が紹介!「大どろぼうホッツェンプロッツ」

この本がユニークなところは実はもうひとつありまして、それが「同じ本を複数の人が紹介している」ということです。
そのため、70名の執筆者に対して紹介されている本は66冊(つまり4つの作品が複数人に紹介されている)となっています。

さて、そのひとつでもあるのがこの名作「大どろぼうホッツェンプロッツ」です。
わたし自身も子どもに読み聞かせをする中で初めて読んだ本(このあたりが読み聞かせの醍醐味でもありますね)です。

この本を紹介されているのは、栗田有起(作家)さんと矢萩多聞(装丁家・画家)さんのおふたりです。
おふたりの文章は、それぞれ子どもの頃の自分をこの物語に投影させて、その思い出を語っているのですが、視点がまったく違って興味深いです。

たとえば栗田さんは臆病だった自分と、恐れを抱かず冒険にでかけていくカスパールの勇気というコントラストについて説明しつつ、そんな臆病心を克服したいという思いなどを通じてこの物語の世界に魅了された経験について書かれています。

一方で矢萩さんは、ご家族と旅行したネパールの中でのドタバタ劇が、ネパールへの旅のお供として持参したこの物語と見事につながったような感覚について書かれているのですが、栗田さんとは違って、矢萩さんの場合は、どろぼうであるホッツェンプロッツの方に意識が向かっているようです。

勇気を与えてくれる本として紹介されている栗田さんの文章も、ホッツェンプロッツのことを「まっすぐでまぬけ」と愛情を持って表現されている矢萩さんの文章も、とても魅力的で(ボキャブラリーが貧相ですみません)、この物語が多くの人に愛されているのだと知れてとてもうれしく感じました。

プロレスラーと「泣いた赤おに」

絵本の紹介系の記事などで、ひんぱんに紹介される本でもある「泣いた赤おに」(浜田廣介 作)。
村人と仲良くなりたい赤おにのために、悪者を買って出る青おに。
2人の鬼の関係がとても美しいこの物語を紹介しているのは、プロレスラーとしてプロレス界で大活躍されている棚橋弘至選手です。

棚橋さんは、青鬼の行動が最初はまったく理解できなかったとのこと。
また、親となってご自身が読み聞かせをする側にまわりたくさんの絵本を読む中でも、この物語は異色の存在と感じられたそうです。

けれどプロレスのある重要な試合を巡って、相手選手のことが青鬼の存在とリンクして自分でも驚いたと書かれています。
プロレスラーになって初めて理解できた青鬼の自己犠牲の精神。
人の喜びが自分の喜びになるという感覚。

小さな頃に読んだ絵本が、大人になって大きな意味をもつという壮大なストーリーを紹介する棚橋さんの文章も本人の人柄が表れていてすばらしいです。

吉岡里帆さんの圧巻の文章力

この本の中で、特に印象深かったのが女優の吉岡里帆さんのページでした。

紹介されている「ラヴ・ユー・フォーエバー」という本は、私は読んだことがなかったのですが、圧巻の文章に魅せられて「これは読まなければ」と感じました。

吉岡さんの文章の中では、お母さまが寝る前に読み聞かせをしてくれる時間がたまらなく好きだったこと、たくさんの本を読んでもらったこと、「ラヴ・ユー・フォーエバー」が吉岡さんの人生に大きな影響を与えたことなどが紹介されています。

吉岡さんが、お母さまとこの本の内容をどのように重ねられたか、どんな親子の絆を感じながら子ども時代を過ごされていたか、ここで紹介するのはもったいないほど素晴らしい文章ですので、ぜひ多くの人に読んでもらいたいです。

  • タイトル
    十歳までに読んだ本
  • 出版社による紹介文

    子どもの頃、どんな本を読みましたか? 心を揺さぶられた物語、勇気をもらった言葉、憧れの主人公――小川糸、森見登美彦、宮下奈都、辻村深月、吉岡里帆をはじめ、作家、女優、映画監督ら70名が、「根っこ」となった大切な一冊について綴るエッセイ集。あの頃のドキドキやワクワクがよみがえり、大人になった心に響く一冊です。

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Toshi

横浜市在住。普段は業務改善・問題解決を専門とする人。2児の父。
モンテッソーリ教育を受ける我が子を観察しつつ育児の参考になる書籍を年間50冊読み独自に分析。
世の中のパパ・ママが「子育てのこんなこと知りたい」と思った時にすぐ情報に辿りつける仕組みがあればいいのに、と思ったのがこのサイトのはじまり。

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