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【おすすめ子育て本】AIに負けない子どもを育てる/新井紀子

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今回は、大きな反響を読んだ「AI vs 教科書が読めない子どもたち」に続く、新井紀子さんの著書を紹介します。

Toshi
AIに負けない子どもを育てる 紹介
  • タイトル
    AIに負けない子どもを育てる
  • 著者
    新井紀子
  • 発売日
    2019/9/6
  • 出版社による紹介文
    数々の賞に輝いた30万部ベストセラー、日本中で騒然の書『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』、待望の続編!
    AIが苦手とする読解力を人間が身につけるにはどうしたらいいのか。読解力向上のために親、学校、個人ができることを提言。小学校・中学校で実際に行われて成果をあげている授業・取組みを公開!
    大人が読解力を身につける方法も明らかにする。

    あなたは大丈夫? 18万人が受検した、読解力を測る「リーディングスキルテスト」体験版収録
    理数系が苦手?/中学生平均レベル/知識で解いてしまう…etc
    タイプ別分析が大反響! 体験版で、仕事・勉強の弱点がわかる。「AI読み」では、AI人材になれない!

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AIにできないことで人間ができることって?

「将来はAIに仕事が奪われる」というような表現を頻繁に目にするようになりましたね。

著者が前著である「AI vs 教科書が読めない子どもたち」でも詳しく説明されていたように、現在のAI技術には限界があり、できることとできないことがハッキリしています。

シンプルに言えば、AIが苦手なものは「読解力(意味を正しく理解しながら読む力)」でした。

この前提に立てば、読解力を使ったコミュニケーションは人間にしかない最大の武器と言えそうです。

ですが、ここに落とし穴があったということを、著者はこの本の冒頭で書かれています。

どうやら、「AIと同じように読解を苦手とする人がかなりの割合で存在しているらしい」ということのようです。

子どもたちの読解力が低くなっているのはなぜ?

ではなぜわれわれ人間が得意なはずの読解力が低下しているのでしょうか?

著者の新井紀子さんはそれを研究するために、読解力を分析するための独自のテスト方法(RST)を開発されました。

このテストは、「代名詞などが指す内容を認識する力」や「定義を読んでそれと合致する具体例を認識する力」などの6つの分野別に設計されていて、受験結果によりその人が「どのようなスキルが不足しているか」を示してくれます。

この本の中にも28問のサンプル問題と解説があるので、まずは自分の読解力を確認してみると面白いと思います。

わたし自身も、「読めている」と思い込んでいることが実は読めていなかったということや、6分野のどこを苦手としているかを知ることができました。

本書で著者は、現代の子どもたちの読解力が低くなってしまう背景について分析した内容を説明されています。

個人的に印象的だったのは、「書く量が減っている」という内容でした。

たとえば、ある小学校での授業で、黒板に「図形を正しくならべよう」という11文字の文を書いて、生徒がノートに書き写す様子を観察していると、文で写せる(文を意味で理解して写すことができる)生徒と、文字単位でしか写せない(文を意味として把握できていない可能性がある)生徒といったように、差が出てしまうそうです。

また、近年はノートを取らせるよりもプリントやワークシートを配布する形態の授業が多く、さらに穴埋め形式で埋められる内容になっていることで子どもたちが、ノートを取れないまま中学生になっていくということです。

本書はこのような現代の教育環境の問題点などをあらゆる角度から分析されており、デジタル化のように便利になっている一方で、失っているものも多いということを教えてくれます。

私たちはどう子どもを育てていけばいいの?

それではいったい私たちは、どうやってAIに負けない子どもたちを育てていけば良いのでしょうか?

AIが苦手なことは、「意味を理解しながら読むこと」でした。

言い換えれば、未来を担う子どもたちを育てる私たち親は、「意味を理解しながら読むことができる子どもに育てる」必要があります。

著者はこの本の中で、その方法として、読解力を培う授業内容の提案や、国語の授業のあり方についての提案を書かれています。

ですがそれ以上に読み応えがあるのが、「意味がわかって読む子どもに育てるために」という章の中の、「幼児の権利」という部分です。

そこに書かれているのは、「子どもは言葉と論理の『タネ』を宿して生まれ、外の世界とふれあいながら、五感を使って様々な情報を感じ取りながら文を徐々につなげていく」という内容です。

そのような幼児の権利は、現代では無視されがちであると著者は続けています。

無理やりバギーに乗せて移動することで、「歩く権利」が奪われ、そのことで自然界の様々な情報をインプットする機会まで奪われてしまう、という内容は、大切な幼少期の体験を十分に子どもにさせられているかを考えさせられる部分だと思います。

この章には、リーディングスキルを向上させるための教育として、著者が考える内容をまとめたパートもあります。

幼児期・小学校低学年・小学校中学年・小学校高学年のそれぞれのフェーズにおいて、様々なポイントが、とても詳しく紹介されているので、「AIに負けない、AIを使いこなす大人になってほしい」と願う方にとって、新たな気づきを多く得られるはずです。

さらに興味深いのは、ITと教育について著者の考えが書かれているパートです。

著者はITの分野にかなり明るい方ですが、電子黒板もデジタル教科書も、小学校では無理に入れなくて良いし、EdTech(EducationとTechnologyの融合により、eラーニングなどを用いた授業を行うこと)には反対、との考えです。

デジタル化、IT化すれば高度な教育が受けられる、といったイメージはありますが、失うものもあるし、何よりコストをかけて導入したにもかかわらず大した効果を得られないような部分に対して必要以上のIT化をすることは意味がないということは、常に意識しておきたい部分だと思いました。

おわりに

著者の新井紀子さんが通われていた公立中学校は、ドラマ「金八先生」に出てくるような、荒れた学校だったそうで、教室の窓ガラスが割られたりすることは日常茶飯事で、「一日も早く卒業したい」と願いながら過ごされていたとのことです。

その中学校で学級委員だった新井さんは、授業についていけないクラスメートに英語を教えるように担任の先生から言われたとのこと。

Monday, Tuesday も綴れない同級生に、プリントを自作し英語を教える中で、「読解力が人生を左右する」という信念ができたと書かれています。

読解力については他の記事でも紹介していますが、色々な本の中で重要な力として書かれています。

その中でも、実際にRSTを体験し、自分の読解力を客観視することができるこの本はとても面白いと思いました。

お子さまの読解力を育てるためにも、まずは自分の読解力をチェックしてみる、そのようなアプローチとしてもとてもおすすめできる本です。

AIに負けない子どもを育てる 紹介
  • タイトル
    AIに負けない子どもを育てる
  • 著者
    新井紀子
  • 発売日
    2019/9/6
  • 出版社による紹介文
    数々の賞に輝いた30万部ベストセラー、日本中で騒然の書『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』、待望の続編!
    AIが苦手とする読解力を人間が身につけるにはどうしたらいいのか。読解力向上のために親、学校、個人ができることを提言。小学校・中学校で実際に行われて成果をあげている授業・取組みを公開!
    大人が読解力を身につける方法も明らかにする。

    あなたは大丈夫? 18万人が受検した、読解力を測る「リーディングスキルテスト」体験版収録
    理数系が苦手?/中学生平均レベル/知識で解いてしまう…etc
    タイプ別分析が大反響! 体験版で、仕事・勉強の弱点がわかる。「AI読み」では、AI人材になれない!

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  • この記事を書いた人

Toshi

横浜市在住。普段は業務改善・問題解決を専門とする人。2児の父。
モンテッソーリ教育を受ける我が子を観察しつつ育児の参考になる書籍を年間50冊読み独自に分析。
世の中のパパ・ママが「子育てのこんなこと知りたい」と思った時にすぐ情報に辿りつける仕組みがあればいいのに、と思ったのがこのサイトのはじまり。

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