はじめに
今回は、栃木県足利市にある小俣幼児生活団という保育園で「92歳の現役保育士」として活躍されている大川繁子さんが書かれた本を紹介します。
- タイトル
92歳の現役保育士が伝えたい親子で幸せになる子育て - 著者
大川繁子 - 発売日
2019/9/11 - 出版社による紹介文
NHK『あさイチ』で話題の92歳の保育士さんの本!
ほったらかしでも、しっかり自立する!
ペリー来航よりも前に建てられた築170年の古民家の園舎でいち早くモンテッソーリ教育とアドラー心理学の“いいとこどり"を実践してきた“奇跡の保育園"--小俣幼児生活団。
主任保育士を務める大川繁子さんが60年かけて2800人以上の園児たちに教わった子どもがよ〜く育つコツ。
60年の保育士生活で、2800人の子どもを送り出して来られた大川さんがたどり着いた子育ての世界に触れられるこの本について、「こんな人におすすめ」をまとめたので以下チェックしてみてください。
こんなことを知りたい人におすすめ
- 保育士歴60年の大川さんが考える、「子どもに必要な力」とは
- 親子のコミュニケーションに必要なこととは
- そもそも子どもはどのようなステップを経て育っていくのか
子育てってうまくいかないことばかりです。
2800人もの子どもと関わってこられた方のアドバイス、ぜひ聞いてみたいです。
大川さん自身、色々と試行錯誤をされる中でたどり着いた現在の考え方があり、その試行錯誤の様子も伺えることができてとても参考になる本ですので、ぜひ読んでみてくださいね。
どうしておすすめなの?
①保育士歴60年の大川さんが考える、「子どもに必要な力」とは
大川さんが主任保育士として勤められている小俣幼児生活団は、こんなルールがあるそうです。(一例)
- みんなでいっしょに何かをする、ではない
- 自分のことは自分で決める
- お昼寝は強要しない
- ルールは園児が決める
- 園児に命令しない
これだけで、一般的な保育園とは大きく異なることがわかりますね。
このような考え方の根底には、「子どもが持つ能力を引き出すために大人がサポート役に徹する」というモンテッソーリ教育や、「大人と子どもを対等の立場に置き、子どもを尊重する」というアドラー心理学の考え方を参考にされているとのことです。
でも、最初からそのような考え方だったわけではなく、様々な転機がある中で試行錯誤しながらたどり着いたスタイルのようです。
現在の保育のスタイルは、昔と比べて、「子どもたちの表情も育ち方もぜんぜん違う」と書かれています。
そのように、保育について60年考え続けた大川さんが、子どもにとって必要な力として、「自由に生きる力」と説明されています。
「自由に生きる力」さえあれば、どんな子も、どんな世の中でも幸せに生きていける、と。
第一章「『自由に生きる力』を育てるために」の中に、子育ての真髄を表しているような大川さんのメッセージがあります。
子育ててつらいのは、親が本来かすみ草として花を咲かせる子に対して、「こんなはずじゃない、この子はバラに育つはずだ、育てなければ」と思い込むこと。子どもを否定することです。
この本には、このように、「自由に生きる力」を育てるために親として必要なことがたくさん書かれています。
② 親子のコミュニケーションに必要なこととは
この本の中に「親が守りたいコミュニケーションの約束」という章があります。
『「いい子」「すごいね」と評価しない』
『大人の「あたりまえ」で叱らない』
『子どもの行動にはすべて目的がある』
といったように、子どもに対してどのような姿勢で接する必要があるかということを様々なエピソードとともに紹介してあります。
その中でも紹介したいのが、『言いたがらないときは、口をこじあけない』です。
これは、子育ての中でどんな親でも少なからず遭遇する場面ではないでしょうか。
たとえば、明らかに誰かに噛みつかれた跡があるなど。
子どもが話したがらないことには、子どもなりの理由がある。
「話したくなったら教えてね」と伝えてしばらくそっとしておく。
子どもを尊重する、という姿勢を親が示すことで子どもは親の信頼を感じ育っていく。
そのように、親子のコミュニケーションに関して意識したいポイントをたくさん教えてくれる本です。
③ そもそも子どもはどのようなステップを経て育っていくのか
この本の中で、大川さんは「目に見えない発達」の重要性について語られています。
そして、目に見えない発達について、「発達の三角形」というものを紹介しています。
子どもは、この三角形の下にあたる「情緒の発達と安定」を最初のステップとして、「自主性」「社会性」といった順番に発達していくという内容です。
この三角形の重要な部分は、「下の土台がしっかりしていないままで上を育てようとすると、グラグラと不安定な状態になってしまう」ということです。
では一番下の「情緒」という土台をしっかり作るにはどうしたら良いか。
さらに、「自主性」、「社会性」、その先の「知識の習得」。
それぞれのステップでどのようなことを意識するべきか。
そんな発達のステップに合わせた大川さんのアドバイスに触れることができます。
最近「非認知能力」や「自己効力感」といった言葉が子育てのキーワードとして注目されるようになりましたが、大川さんが説明されている「目に見えない発達」は、これらの力の総称のような位置づけであると言えますね。
大川さんの説明を聞くと、難しい言葉を使わずにシンプルに考えれば良いのだと、気づかされるような気がします。
まとめ
子育て本をたくさん紹介している立場ではありますが、大川さんのメッセージはどんな子育て本よりもとてもシンプルでわかりやすいと感じます。
「2800人の子どもたちの中で、一人として同じ育ち方の子はいなかった。だからこそ世間で言われている子育ての常識のようなものは『そういう説もあるんだな』と話半分で受け止めるくらいでちょうどよい」と大川さんは仰っています。
子育てが難しく感じてしまう時にこそ、手に取ってみてほしい本です。
- タイトル
92歳の現役保育士が伝えたい親子で幸せになる子育て - 著者
大川繁子 - 発売日
2019/9/11 - 出版社による紹介文
NHK『あさイチ』で話題の92歳の保育士さんの本!
ほったらかしでも、しっかり自立する!
ペリー来航よりも前に建てられた築170年の古民家の園舎でいち早くモンテッソーリ教育とアドラー心理学の“いいとこどり"を実践してきた“奇跡の保育園"--小俣幼児生活団。
主任保育士を務める大川繁子さんが60年かけて2800人以上の園児たちに教わった子どもがよ〜く育つコツ。