はじめに
今回は、読書の重要性について様々なデータとあわせて教えてくれる、榎本博明さんの「読書をする子は〇〇がすごい」を紹介します。
- タイトル
読書をする子は〇〇がすごい - 著者
榎本博明 - 発売日
2021/05/08 - 出版社による紹介文
新井紀子教授の『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』によると、中学生の約5割が教科書の内容を読み取れないということだが、著者の周りでも困った学生が増えている。
まず、心理検査やアンケート調査が正確に行えない。質問文の意味がわからないのだ。「内向的って何ですか ? 」「引っ込み思案って何ですか ? 」という質問が普通に出てくる。学生たちと話すと、「そんな言葉は日常会話やSNSでは使わないから」ということだそうだ。
読書時間ゼロの学生がいまや50%を超えた。半分の学生は本当にまったく本を読まない。一方で、文科省はアクティブ・ラーニングの方向に舵を切り、プレゼン、対話型の授業を増やしている。ただ、対話と言ってもお互い何も話さずじっとしていたり、プレゼンも自分の持ち時間を使い切れずに終わるなど、悲しい事例がそこかしこにあるようだ。
まずは、この本を読んでほしい人について以下にまとめたので、自分にマッチするかチェックしてみてください。
こんな人に読んでほしい
- 読解力がどのように必要なのかよくわからない人
- 読書がもつ効果について詳しく知りたい人
- 読書習慣がある子、言語能力の高い子が育つ環境について知りたい人
うちの子はそれほど本を読まないけど、読書習慣は身につけてほしいです。
はい。そのためにどんな環境を用意してあげる必要があるかについても書かれていますよ。以下でもう少し詳しく紹介していきますね。
どうしておすすめなの?
①読解力がどのように必要なのかよくわからない人
この本の序盤で、著者は「読解力が不足していることにより起こる問題」について様々な例を紹介されています。文章を読む力が無いので文章の意味を正確に捉えることができない、という点は容易に想像できますが、その他に「人の言うことが理解できない」、「相手の言葉の意図が理解できない」といった弊害、さらにはそれが原因となりコミュニケーションの問題が発生しているということを書かれています。
また、学校の授業にもついていけず大変な苦労をしている学生が多く存在しているということも、実際に大学で教授として多くの学生と直に触れ合ってこられた著者の経験とあわせて説明されています。
特に興味深かったのは、PowerPoint などで作られたカラフルで図解つきの資料を使った授業などに慣れすぎてしまっていることで、「赤字や太字で強調されていなければ重要な箇所がわからない」「矢印で関係が表現されていないと影響関係が理解しにくい」といったことが書かれている部分でした。わかりやすい資料が逆に子どもたちの読解力、思考力を奪ってしまっているのかと思うと深刻ですね。「読解力はなぜ必要?」という疑問に対しては、たくさんの答えを用意してくれている本です。
②読書がもつ効果について詳しく知りたい人
この本の中で私が特に印象に強く残ったのは「読書の効果」について書かれているパートです。
読書を通じて語彙が増えるということ以外に、本書では以下のような効果について様々な研究結果を紹介されています。
- 間接経験が増える
- 知的発達が促される
- 学習意欲が高くなる
- 社会性が高くなる
- 論理思考力が高くなる
特に「間接経験」は見落とされがちな効果ではないかと思います。
本を読むことで自分が経験できないような世界を冒険できたり、様々な人物の感情に触れることでこの世にはいろんな人間がいることを知り、それが人を思いやる力を身につけさせてくれるというのは、読書の持つなんとも素晴らしい側面ではないかと思います。
この本を読むと、読書のもつ様々な効果について知ることができ、「読書習慣を身につけさせてあげなければ」と感じられると思います。
③読書習慣がある子、言語能力の高い子が育つ環境について知りたい人
「読書習慣を身につけさせてあげたいけど、どうすれば良いの?」というのは、多くの人が持つ疑問ですね。
著者はこの本の中で、読書習慣を見につけている子、高い言語能力を持つ子がどのような環境で育っているのかについても「言語能力はどうやって身につくのか?」という章で解説しています。
一部を紹介すると、子どもの言語能力に大きな影響を与えるのは「家庭環境」であるということが書かれています。家庭環境とは、「子どもと一緒に図書館に行く習慣」や「家にある蔵書の数」などです。
また、そういった環境の中で自然と読書習慣を身につけることができた子は、読解力をもとに雪だるま式に知識を増やし、言語能力を自分で向上させていくことができるのだということも、この本から学ぶことができます。
家庭内にどんな環境を用意してあげれば、子どもの読書習慣をつける助けとなるかについて知ることができる点で、多くの人に読んでほしい本です。
まとめ
本書を通じて、子どものころに読解力を身につけておくことで、学校の授業が理解しやすかったり、様々な知識を向上させられるということを学びました。また、読解力を身につけさせるためには読書がいかに重要かということもあらためて認識できました。子どもたちにはたくさんの本に触れられる環境を用意してあげたいと思います。
小さな積み重ねが大切だし、その積み重ねをしやすくする家庭環境を作る必要があると理解できました!
- タイトル
読書をする子は〇〇がすごい - 著者
榎本博明 - 発売日
2021/05/08 - 出版社による紹介文
新井紀子教授の『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』によると、中学生の約5割が教科書の内容を読み取れないということだが、著者の周りでも困った学生が増えている。
まず、心理検査やアンケート調査が正確に行えない。質問文の意味がわからないのだ。「内向的って何ですか ? 」「引っ込み思案って何ですか ? 」という質問が普通に出てくる。学生たちと話すと、「そんな言葉は日常会話やSNSでは使わないから」ということだそうだ。
読書時間ゼロの学生がいまや50%を超えた。半分の学生は本当にまったく本を読まない。一方で、文科省はアクティブ・ラーニングの方向に舵を切り、プレゼン、対話型の授業を増やしている。ただ、対話と言ってもお互い何も話さずじっとしていたり、プレゼンも自分の持ち時間を使い切れずに終わるなど、悲しい事例がそこかしこにあるようだ。