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【おすすめ子育て本】1年生になったら紙の辞書を与えなさい

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今回は、教育環境のデジタル化が進む中で「紙の辞書」を使った「辞書引き学習法」を広める活動をされている、深谷圭助さんの書籍を紹介します。

Toshi
  • タイトル
    1年生になったら紙の辞書を与えなさい
  • 著者
    深谷圭助
  • 出版社による紹介文
    1年生は、子どもにとって生活の激変期。
    この時期に子どもの学力を伸ばすために親ができること、それが「辞書引き学習」です!!

    本書は「辞書引き学習」の開発者で、25年以上この学習メソッドを指導してきた著者による、「なぜいま、紙の辞書なのか」「紙の辞書がなぜいいのか」「どうやって辞書を取り入れればいいか」をわかりやすく紹介する書籍です。

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辞書引き学習法ってなに?

「辞書引き学習法」がどんな学習法なのか、については深谷先生の辞書引き学習のホームページをご覧いただく方がわかりやすいのですが・・・簡単に特徴を説明すると、

  • 辞書(国語辞典や漢字辞典など)とふせんを使って行う
  • かな文字を習い始める小学校1年生からはじめる(ことを推奨)
  • こどもが自発的に行い、数千枚のふせんで辞書が膨れ上がる

特に最後の「ふせんで辞書が膨れ上がった」状態については、上記ホームページをご覧いただければ、すごい状態!であることがすぐにおわかりいただけます。

このような辞書引き学習法を使うと、

  • 子どもが辞書を積極的に活用するようになる
  • 子どもの自己肯定感がぐんぐんアップする
  • 子どもの語彙力がどんどん増え、読解力が向上する

というような効果を生むすごい学習法にも関わらず、実践されている学校はまだそれほど多くないというのが現実のようです。

そのような状況の中で、深谷先生は小学校教諭への指導や、全国でのワークショップ・講演会を行いながら辞書引き学習法を広める活動をされています。

辞書は「知らない言葉を調べるためのもの」ではない?

さて、本記事で紹介する一冊も深谷先生が「辞書引き学習法」を広めるための活動の一環として著されたものですが、その本の内容について一部を紹介したいと思います。

まずこの本のはじめには、「紙の辞書」であるべき理由が説明されています。

学校教育のデジタル化が叫ばれる昨今ですが、深谷先生は「小学校でするべき教育の中で、デジタル教材でしなければならないような内容はほとんどない」と述べられています。

デジタル化のように、近代技術が取り入れられた教育現場を目にすると、「最先端の教育」であるかのようについつい勘違いしてしまいそうになりますが、昔から使われてきた方法を使わなくなることによるデメリットについては、「AIに負けない子どもを育てる」という書籍紹介記事でも、似たような指摘があることを紹介しました。

同様にこの本でも、紙の辞書を使うことのメリットが、ネットで検索する場合と比較する形で具体的に説明されています。

さらに、個人的に目から鱗だったのが、「辞書は、知らない言葉を調べるためのものではない」という部分でした。

日本の小学校では、一般的に3・4年生で以下の3通りの辞書の使い方を習いますが、その主な目的は、

  • 知らない言葉の意味を調べる
  • 漢字での書き表し方を調べる
  • 言葉の使い方を調べる

ですが、深谷先生いわく、「語彙力を向上させる」という目的においては、これらの使い方では不十分、とのこと。

では、「辞書引き学習法」ではどのような使い方をさせているのでしょうか。

それは、「自分が知っている言葉を探す」という使い方だそうです。

自分が知っている言葉を探す中で、「あれ?」と自分の知っていると思っていた言葉に対する認識にずれがあることに気づいていき、「知っている言葉でも念のため調べておくことが大切」ということを子どもたちは経験の中で学んでいくそうです。

深谷先生は、このような「知っているようで実はよくわかっていない」状態(不安定な状態)こそが、学びが成立する状態と書かれています。

事実、辞書引き学習にハマった子どもたちは自分たちでふせんに番号を振り、数千枚のふせんを辞書に貼るようになっていくのですが、その原動力となるのが「調べたほうが良いことがある」という、自発的な気持ちに他ならない、ということなのですね。

辞書引き学習と、親が意識するべきこと

辞書引き学習のはじめ方について、この本には詳しくアドバイスが書かれています。

そして「家庭での習慣、親の意識」という章では、子どもたちを見守る親として重要なポイントについて、深谷先生の考えが詳しく紹介されています。

たとえば、「親が教えようとしない」こと。

これは「辞書引き学習法」に関わらず多くの子育て本でも言われていることですが、深谷先生ならではの表現で「まきえ」をうまく使ってこどもの「わからないを引き出す」方法などが説明されていてとても興味深いです。

他には、「デジタルとのつきあい方」「英語をいつから学ばせるか」など、どれも深谷先生ならではの視点による興味深いアドバイスになっています。

個人的にこの本の中で印象的だったのは「子どもにとって最大のインセンティブは親からのほめ言葉」である、と書かれた部分です。

これは実際に研究も行われているそうなのですが、「ふせん何枚貼ったの?」「今日もやっててすごいね」といった親からの声掛けが、子どもの自発的な学びを加速させ、辞書引き学習を支えてくれるという事実は、親としてしっかりと意識しておくべきことだと思いました。

おわりに

子育てにおいて、「もっと早く教えてほしかった」というようなことは個人的にはたくさんありますが、この辞書引き学習法については、特に多くの人にタイムリーに知ってもらいたいものだと思います。

自分の小学生時代を振り返ってみても、辞書は持っていたものの、活用していたかというとそうでもなく・・・このような方法で辞書を楽しく使い、語彙力が向上し、読書が楽しくなる、ということに繋がるのであれば、是非多くの子どもたちにやってみてほしい方法に思います。

この記事をごらんになって、少しでも気になった方は読んでいただけると嬉しいです。


3M スリーエム JBF-1000 辞書引き用ふせん JBF1000 ジャパン ポストイット 付箋 4548623738987 辞書引きふせん スリーエムジャパン 辞書引き学習法 Post-it

  • タイトル
    1年生になったら紙の辞書を与えなさい
  • 著者
    深谷圭助
  • 出版社による紹介文
    1年生は、子どもにとって生活の激変期。
    この時期に子どもの学力を伸ばすために親ができること、それが「辞書引き学習」です!!

    本書は「辞書引き学習」の開発者で、25年以上この学習メソッドを指導してきた著者による、「なぜいま、紙の辞書なのか」「紙の辞書がなぜいいのか」「どうやって辞書を取り入れればいいか」をわかりやすく紹介する書籍です。

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  • この記事を書いた人

Toshi

横浜市在住。普段は業務改善・問題解決を専門とする人。2児の父。
モンテッソーリ教育を受ける我が子を観察しつつ育児の参考になる書籍を年間50冊読み独自に分析。
世の中のパパ・ママが「子育てのこんなこと知りたい」と思った時にすぐ情報に辿りつける仕組みがあればいいのに、と思ったのがこのサイトのはじまり。

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